十月の第一土曜の夜だった

 十月の第一土曜の夜だった。フィンカムの近くの、運転手のたまりになっている飲み屋へ車をたのみに行くと、顔馴染の運転手がこんなことをいった。「あそこのマダムは、おめえのおふくろなんだろう。おめえはたいした孝行者なんだな。だがな坊や、おめえが送りこんだやつとおめえのおふくろが、どんなことをしているか、...

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他人の金で勉強する

「大当り」 と太郎は心のなかでつぶやいた。ヨハネでも、やはり言うときは言うんだな。女の子に化けたのは、たった一度だけだったのに、いったい誰から聞いたんだろう。あのときの婦警かしら。セーラー服を借りた、二年A組のヨナ子がしゃべったのかもしれない。「お前は、他人の金で勉強するのが嫌になった。それで、...

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最後の日

 最後の日の近く、母がひと句切りずつ口移しに教えて、いくども復唱させた。「ラケダイモンというのは、スパルタ人のことなの……二千年も前に、スパルタの兵隊が、何百倍というペルシャの軍隊とテルモピレーというところで戦争をして、一人残らず戦死しました。その古戦場に、こういう文章を彫りつけた石の碑があったと...

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